株式市場の中心で銘柄への愛を叫ぶ

銘柄に惚れてはいけないのに銘柄に惚れ込んでしまう投資家のメモ

【3277】サンセイランディック (不動産権利調整のリーディングカンパニー) (その2)

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2015年12月期 2Q 決算

期初はかなりの下期偏重となる予想であったが、7月27日時点で2Qの予想を修正している。

(単位:百万円) 売上高 営業利益 経常利益 四半期純利益 1株あたり四半期純利益
2Q予想(A) 3,615 66 17 7 0.93円
2Q実績(B) 4,289 394 348 211 26.46円
増減額(B-A) 673 328 330 203  


修正の要因は「当社グループの主力事業である不動産販売事業において、全体的に物件の販売が順調だったことから、売上、利益ともに予想を上回って推移し、売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益とも大幅な増額となる見通しとなったため、上記の通り修正いたします。」ということで、予想より販売が好調ということのようだ。

サンセイランディックホルダーのブログをみると、「下期の売上が前倒しになったものなのか(下期に売るものがあるのか?)」に注目されている。既に詳しいブログがあるのだが、自分でも確認。グラフは各四半期ごとの数字であり累積ではない点に注意。

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(オリジナルサイズ)

昨年の仕入の厳しさが一目瞭然であるが、今年の仕入の多さも今までにないものである。2Q決算短信には仕入について以下の通り説明されている。

仕入については、本社の仕入戦略チームの設置や支店における人員強化により、今後の利益の源泉となる物件の仕入拡大を図りました。

3Qも同様なのか?仕入れたものの粗利率は?などまだまだ目を離せないが、企業の取り組みに効果が出て来ているのはよい傾向だろう。

販売用不動産・自己資本比率・キャッシュ

仕入と販売用不動産の積み上げ状況はどうか。また、キャッシュや自己資本比率はどうか。
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(オリジナルサイズ)

  • 純資産は順調に増加。
  • 自己資本比率は常に40%以上をキープ。
  • 販売用不動産は急回復し、過去最高の積み上がり。
  • 増資により?キャッシュが従来の2倍程度に維持可能に。
  • 仕入を増やすための体力強化がきちっと伴っている。
  • 仕入が少ない期間は販売用不動産が減少。仕入れが少ない場合でもある程度は「販売用不動産」の厚みが助けてくれる。
  • 増資の効果が財政や仕入の数字に出ている(気がする)。

株価との関連

株価のローソク足と仕入・販売用不動産の実績をかさねてみるとどうか。
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(オリジナルサイズ)

  • 販売用不動産の減少と公募増資により株価は900円以上を維持できず1年ほどレンジ入り。
  • 販売用不動産の積み上げによりレンジの上抜けを期待。とはいえ仕入が今までと完全に違うモードに入ったと判断するには3Qの数字がやはり見たいかな。

投資対象としての不動産と必要に迫られた結果の不動産取引

湾岸のタワーマンションは相続税対策や中国人による「爆買い」で価格が上昇しているらしい。先の記事でも書いているように相続税対策として新規のタワーマンションを買うというのは歪んでいる。新規住宅を増やすような制度は中古住宅市場活性化の政策と矛盾しているし、中国人による不動産取得もどこかで問題がでてくるだろう。

サンセイランディックが取り扱っている「底地」は投資の対象として欲しがられるというよりは、相続税対策もしくは相続税支払のための迫られたニーズとして扱われるものであろう。昔からの日本の制度・土地の問題であり、その取引には日本人しか絡む事が無い。

食物連鎖のように、更地→住宅建設→居住→相続・空き家化(分割・複雑化・問題化)→権利調整(結合)→土地再生、という流れがある。今の日本は超高齢化社会であり、同様に土地も高齢化している。「相続」が多発する時期なのだ。だからこそ「分解者」に相当するビジネスが不可欠となる。
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中国人による不動産取得の問題

管理組合総会は中国語!? 2020年マンション大崩壊」で紹介されているエピソードには戦慄した。「いや、ここは日本ですけど・・・なにか?」と思いたいが。

引用元は「2020年マンション大崩壊 (文春新書)」で「空き家問題 (祥伝社新書)」と同じ著者である。

ある都心のタワーマンションでの出来事です。私の知人のマンション会社の社員がマンション管理組合の第一回目の設立総会に出向き、役員の選任や今後の組合の活動予定などの説明を始めたときのことです。

最高層部を数億円で購入した区分所有者である中国人が、彼の説明を遮って発言しました。

「なぜ、この管理組合総会の議事進行は日本語で行われるのだ。私は中国人。このマンションの所有者の多くは中国人と聞いている。ならば総会における使用言語は中国語で行うべきだ」

会場中がこの発言に凍りついたそうです。たしかにこのタワーマンションは東京都心で立地は抜群。特に高層部の高額の住戸はほとんどが中国人の購入。中には数戸まとめて購入した人までいたと言います。

相続税対策の本格化

2015年1月からの相続増税に対する対策が本格化している。当然増税前から準備をしていた人も多いが、実際に増税されてリアルに考え始めた人もいるのだろう。

相続税専門の会計事務所である税理士法人チェスターの「税理士法人チェスターは、相続税申告件数No1ヘ」より抜粋。2014年度の実績が264件であることから考えると一気に倍である。

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ちなみにこの税理士法人チェスターとサンセイランディックはセミナー開催などで協力している様子である。

ボックスのブレイクアウト?

これまで黒田バズーカ後につけた高値888円が亡霊のようにつきまとっていた。昨年強引に888円を抜けたが、仕入れの低迷や1部上場にセットになっていた増資により「だまし」のようになっていた。今回この888円を突き抜けた際には、黒田バズーカ後の出来高4000前後を上回る5000超の出来高となった。今回は「本物」だと思って良いだろうか。(「不動産セクターはついに動くのか?」として他の不動産銘柄も確認してみた。)
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民泊ビジネスによる空き家活用の道

民泊ビジネスによる空き家活用の道が見えて来た。WBSでは民泊ビジネスを手がけようとしている「とまれる」が空き家問題に取り組む企業としてサンセイランディックとの提携を模索している様子が紹介されていた。

www.tv-tokyo.co.jp

サンセイランディックの空き家問題への取り組みはまだ研究段階の認識ではあるが、「民泊」というものに取り組んで行く方向性が見えて来たのだろうか。たしかに空き家の活用もさることながら、民泊として利用する場合の近隣住民との関係調整にもニーズはありそうだ(近隣住民とのトラブルが民泊の大きな問題なので)。

上記のWBSでは会議室での打ち合わせだったが、「東京に"民泊"特区」をみると、実際に空き家へ訪問して民泊への活用を検討する段階に進んでいる。味見程度だとは思うけれども。
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相続で空き家が生まれてしまう

駅チカの空き家、48万戸もあった 「処分しづらい」理由とは」より引用する。

空き家が減らない原因について、遺産相続時の対処を指摘する向きは少なくない。国土交通省の調べによると、「その他空き家」の住宅を取得するときの経緯で、最も多かったのが「相続して取得する」ケースで、56.4%にのぼった(2014年空き家実態調査、サンプル数897、集計中)。

たとえば、相続時に故人の住まいを売る、売らないで家族が揉めたり、また住宅を取り壊して更地にすると固定資産税が6倍にハネ上がったりするので、とりあえずそのまま置いておくことがある。さらには現行の建築基準法に合致しないなどで、新築住宅が建てられず、処分できないといったケースもある。

一方、腐朽して破損したり、耐震性などに問題があったりする場合、取り壊して建て替えるには多額の費用がかかる。借地権付きの古い住宅ではいろいろ問題が発生して、放置されるケースは少なくない。

いずれにしても、相続発生時にきちんと対処しないことをきっかけに「放ったらかし」にされることが多いようだ。