【3277】サンセイランディック (不動産権利調整のリーディングカンパニー) (その3)
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民泊関連銘柄の盛り上がり
民泊関連銘柄がかなり盛り上がっていましたが、サンセイランディックはさっぱりです。アパート立てて民泊活用するよ、みたいな銘柄に比べれば変化球っぽい関わりだからかな。直球が市場にとってはわかりやすいということか。
なんでアパート新たに立ててまで民泊をするのか、それってもはや民宿とかホテルそのものじゃないのかとどうしても思ってしまう。空き家問題の解決どころか、下手したら悪化を招きかねないだけに。
盛り上がるにつれていろいろ周辺とのトラブルも増えて来ているだけに、「権利調整」がまさしく光るところのはずなのだが。
サンセイランディックの事業の「ツール」としての民泊利用
平成27年12月期決算説明会資料では民泊の利用例として3例が具体的に挙げられている。ポイントはどのケースでも「周辺からの反対」が少なそうなことである。
- 空き家が放置されるよりは活用してもらったほうがメンテナンスが行われる(廃墟にならない)。
- サンセイランディックが扱うのはマンションではなく戸建物件(底地が関係)が主体。
- 居抜きの場合も周りは退去済みか「しばらく使いたい」という希望と民泊利用のトレードオフ交渉がしやすそう。
派手ではないがまずは「ツール」として利用するという姿勢。説明会の動画では「ツールとしての利用でノウハウが蓄積できれば民泊にもう一歩踏み込むこともあり」というような説明もあったので今後に期待。とりあえず「とまれる」が大田区で認定第1号になったので、第2号にはサンセイランディックにならないかな(ホルダーの妄想)。
2015年12月期決算
3Q決算で順調に販売が進捗しているので当初予定に変更は無いと明示されていたものの完全に市場も私も弱気だった。「酷い下方はないとしても『期ずれ』という理由と共に数%の下ぶれはあるのだろう。」というのが私の予想だった。
結果は「通期予想達成」であり、来期も2桁成長の見込み。まさか達成するはずもない数字がでてきたせいか、これまでのグラフでは対応しきれない有様であった。
来期の業績予想を占う販売用不動産の積み上がりは去年とは大違いになっている。これが来期の売上が強気になっている根拠なのだろう。
今回のサンセイランディックの決算は数字もさることながら「3Qでわざわざ書いた言葉にしっかりコミットしてきた」こと、「IRの内容が信頼出来る」と感じられたことが大きい。おそらく他の投資家もそう思ったのではないか。四半期ごとの決算で暴落・暴騰している株は機関投資家は買い難いであろう。販売用不動産の規模が大きくなればなるほど業績の「期ずれ」も起こり難くなると期待したい。
松崎社長、非常に頼もしい社長さんですね。これからのよろしくお願いします。
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2015年12月期 2Q 決算
期初はかなりの下期偏重となる予想であったが、7月27日時点で2Qの予想を修正している。
(単位:百万円) | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 四半期純利益 | 1株あたり四半期純利益 |
---|---|---|---|---|---|
2Q予想(A) | 3,615 | 66 | 17 | 7 | 0.93円 |
2Q実績(B) | 4,289 | 394 | 348 | 211 | 26.46円 |
増減額(B-A) | 673 | 328 | 330 | 203 |
修正の要因は「当社グループの主力事業である不動産販売事業において、全体的に物件の販売が順調だったことから、売上、利益ともに予想を上回って推移し、売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益とも大幅な増額となる見通しとなったため、上記の通り修正いたします。」ということで、予想より販売が好調ということのようだ。
サンセイランディックホルダーのブログをみると、「下期の売上が前倒しになったものなのか(下期に売るものがあるのか?)」に注目されている。既に詳しいブログがあるのだが、自分でも確認。グラフは各四半期ごとの数字であり累積ではない点に注意。
(オリジナルサイズ)
昨年の仕入の厳しさが一目瞭然であるが、今年の仕入の多さも今までにないものである。2Q決算短信には仕入について以下の通り説明されている。
仕入については、本社の仕入戦略チームの設置や支店における人員強化により、今後の利益の源泉となる物件の仕入拡大を図りました。
3Qも同様なのか?仕入れたものの粗利率は?などまだまだ目を離せないが、企業の取り組みに効果が出て来ているのはよい傾向だろう。
販売用不動産・自己資本比率・キャッシュ
仕入と販売用不動産の積み上げ状況はどうか。また、キャッシュや自己資本比率はどうか。
(オリジナルサイズ)
- 純資産は順調に増加。
- 自己資本比率は常に40%以上をキープ。
- 販売用不動産は急回復し、過去最高の積み上がり。
- 増資により?キャッシュが従来の2倍程度に維持可能に。
- 仕入を増やすための体力強化がきちっと伴っている。
- 仕入が少ない期間は販売用不動産が減少。仕入れが少ない場合でもある程度は「販売用不動産」の厚みが助けてくれる。
- 増資の効果が財政や仕入の数字に出ている(気がする)。
株価との関連
株価のローソク足と仕入・販売用不動産の実績をかさねてみるとどうか。
(オリジナルサイズ)
- 販売用不動産の減少と公募増資により株価は900円以上を維持できず1年ほどレンジ入り。
- 販売用不動産の積み上げによりレンジの上抜けを期待。とはいえ仕入が今までと完全に違うモードに入ったと判断するには3Qの数字がやはり見たいかな。
投資対象としての不動産と必要に迫られた結果の不動産取引
湾岸のタワーマンションは相続税対策や中国人による「爆買い」で価格が上昇しているらしい。先の記事でも書いているように相続税対策として新規のタワーマンションを買うというのは歪んでいる。新規住宅を増やすような制度は中古住宅市場活性化の政策と矛盾しているし、中国人による不動産取得もどこかで問題がでてくるだろう。
サンセイランディックが取り扱っている「底地」は投資の対象として欲しがられるというよりは、相続税対策もしくは相続税支払のための迫られたニーズとして扱われるものであろう。昔からの日本の制度・土地の問題であり、その取引には日本人しか絡む事が無い。
食物連鎖のように、更地→住宅建設→居住→相続・空き家化(分割・複雑化・問題化)→権利調整(結合)→土地再生、という流れがある。今の日本は超高齢化社会であり、同様に土地も高齢化している。「相続」が多発する時期なのだ。だからこそ「分解者」に相当するビジネスが不可欠となる。
中国人による不動産取得の問題
「管理組合総会は中国語!? 2020年マンション大崩壊」で紹介されているエピソードには戦慄した。「いや、ここは日本ですけど・・・なにか?」と思いたいが。
引用元は「2020年マンション大崩壊 (文春新書)」で「空き家問題 (祥伝社新書)」と同じ著者である。
ある都心のタワーマンションでの出来事です。私の知人のマンション会社の社員がマンション管理組合の第一回目の設立総会に出向き、役員の選任や今後の組合の活動予定などの説明を始めたときのことです。
最高層部を数億円で購入した区分所有者である中国人が、彼の説明を遮って発言しました。
「なぜ、この管理組合総会の議事進行は日本語で行われるのだ。私は中国人。このマンションの所有者の多くは中国人と聞いている。ならば総会における使用言語は中国語で行うべきだ」
会場中がこの発言に凍りついたそうです。たしかにこのタワーマンションは東京都心で立地は抜群。特に高層部の高額の住戸はほとんどが中国人の購入。中には数戸まとめて購入した人までいたと言います。
相続税対策の本格化
2015年1月からの相続増税に対する対策が本格化している。当然増税前から準備をしていた人も多いが、実際に増税されてリアルに考え始めた人もいるのだろう。
相続税専門の会計事務所である税理士法人チェスターの「税理士法人チェスターは、相続税申告件数No1ヘ」より抜粋。2014年度の実績が264件であることから考えると一気に倍である。
ボックスのブレイクアウト?
これまで黒田バズーカ後につけた高値888円が亡霊のようにつきまとっていた。昨年強引に888円を抜けたが、仕入れの低迷や1部上場にセットになっていた増資により「だまし」のようになっていた。今回この888円を突き抜けた際には、黒田バズーカ後の出来高4000前後を上回る5000超の出来高となった。今回は「本物」だと思って良いだろうか。(「不動産セクターはついに動くのか?」として他の不動産銘柄も確認してみた。)
民泊ビジネスによる空き家活用の道
民泊ビジネスによる空き家活用の道が見えて来た。WBSでは民泊ビジネスを手がけようとしている「とまれる」が空き家問題に取り組む企業としてサンセイランディックとの提携を模索している様子が紹介されていた。
サンセイランディックの空き家問題への取り組みはまだ研究段階の認識ではあるが、「民泊」というものに取り組んで行く方向性が見えて来たのだろうか。たしかに空き家の活用もさることながら、民泊として利用する場合の近隣住民との関係調整にもニーズはありそうだ(近隣住民とのトラブルが民泊の大きな問題なので)。
上記のWBSでは会議室での打ち合わせだったが、「東京に"民泊"特区」をみると、実際に空き家へ訪問して民泊への活用を検討する段階に進んでいる。味見程度だとは思うけれども。
相続で空き家が生まれてしまう
「駅チカの空き家、48万戸もあった 「処分しづらい」理由とは」より引用する。
空き家が減らない原因について、遺産相続時の対処を指摘する向きは少なくない。国土交通省の調べによると、「その他空き家」の住宅を取得するときの経緯で、最も多かったのが「相続して取得する」ケースで、56.4%にのぼった(2014年空き家実態調査、サンプル数897、集計中)。
たとえば、相続時に故人の住まいを売る、売らないで家族が揉めたり、また住宅を取り壊して更地にすると固定資産税が6倍にハネ上がったりするので、とりあえずそのまま置いておくことがある。さらには現行の建築基準法に合致しないなどで、新築住宅が建てられず、処分できないといったケースもある。
一方、腐朽して破損したり、耐震性などに問題があったりする場合、取り壊して建て替えるには多額の費用がかかる。借地権付きの古い住宅ではいろいろ問題が発生して、放置されるケースは少なくない。
いずれにしても、相続発生時にきちんと対処しないことをきっかけに「放ったらかし」にされることが多いようだ。
【3277】サンセイランディック (不動産権利調整のリーディングカンパニー) (その1)
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メモ書き。論点がコロコロ変わります。
社会背景
人口減少期に入った日本
人口減少による問題が次第に顕在化してきている。工事現場や飲食業界における人手不足・労働力不足に始まり、事業の根幹が崩れてしまう企業も出て来ている。
代ゼミ、20校閉鎖 全国7校に 浪人生減で業績悪化 (2014年8月23日 日経新聞より一部引用)
大手予備校「代々木ゼミナール」を運営する学校法人高宮学園(東京・渋谷)は全国27カ所の校舎を7カ所に減らす方針を固めた。20カ所では2015年度以降の生徒募集をやめて休校し、事実上閉鎖する。施設の活用法は未定という。代ゼミは大学受験の浪人生を主な対象に運営してきたが、少子化や現役志向の高まりで浪人生が減り、業績が悪化していた。
ストック&リノベーション
代ゼミのニュースは不動産セクターにとっても実は他人事ではない。学生・浪人生の減少のように、人口・購入する30代の減少がこれからじわじわと顕在化してくる。新築ばかりをつくっている企業の先行きは決して明るくないだろう。
近年国が取り組んでいる中古住宅市場の活性化は国にしては比較的積極的に動いているもののようだ。これには「空き家」問題が拡大しつつあるという背景事情があるのだが、国民の資産価値を見かけ上だけでも増やす必要があるからではないか、と個人的には勘ぐっている。住宅市場にはこれまで巨額の投資が行われたのにも関わらず、日本では経年で評価が減少してしまうため投資した額より遥かに少ない評価額にしかならない。
私はマンションリノベーションのインテリックスを有望視しているわけで、リノベーションによる既存ストックの活用は今後必須になると考える。これはそう簡単ではないのだが、以下の条件を満たしていればマンションの躯体を作るのは数百年に1度だってよいと思うのだ。人に近いインフィルの部分こそが一番進歩するので、そこさえ入れ替えれば基本的には住居の評価は新築にかなり近づくのだ。
- デザインが古くなっていない (明らかにダサイというものはやはり気持ちのよいものではないだろう)
- 安全性が確保されている (耐震性能)
- 共用部分のメンテナンスがなされている
コンパクトシティ
リノベーションをする対象の建物がどこにあるか、あるべきか、それを考える時に大事になるのがコンパクトシティ構想である。人口が減少する日本では国土全域のインフラを管理・維持することは壮大な無駄使いなのだ。郵便が日本全国同じ料金で届く、それができるのは国に余裕があるからだ。もうその余裕はないのだ。郵便ならまだしも、電力網・通信網・道路網・鉄道網、どれをとっても日本全国をカバーするのは難しくなる。できなくはないとしても、効率がわるいのだ。
遠くに届けるのではなく、人を近くに集めるアプローチが必要だ。もちろんこれは権利上難しい問題なのだろう。しかしそれをしなければ全体が大きな無駄のもとに衰退するのだ。最少不幸ではなく最多幸福を求めるべきだ。一人の命は地球より重いかもしれない。しかし一人よりは二人の命の方がより重いのだ。
今の日本とは関係がないことなのだが、国土交通省のいう「今後わが国の都市は多極ネットワーク型のコンパクトシティを目指すこととしています」の多極ネットワークという表現は脳・インターネット・宇宙を連想させる。宇宙がその構造をとっている、という事実は成熟した社会がその構造を目指す必然性の存在を感じさせる。
不動産への見方が革命的に変わる瞬間
不動産は動かない資産。資産。欲しいか?欲しい。駅前一等地のビルが欲しいか?欲しい。田舎の土地が欲しいか?欲しくない。田舎の空き家が欲しいか?欲しくない。都市部の空き家が欲しいか?条件次第。
実家が空き家になった子供はその空き家を資産として捉えるだろうか。自分が住まないのであれば、それがお金を生み出すか、お金にできなければ資産とは捉え難いだろう。買い手も借り手も見つからない空き屋はお金にもできないし、お金も生まない。むしろ固定資産税はとられるし、放置すると近所からの苦情もあるかもしれない。これを資産と捉えることができるか?
おそらくどこかで不動産に対する日本人の見方が変わる時が来る。不動産は「負動産」とか「腐動産」と揶揄される存在になりかねないのだ。それが突然かつ急激に訪れればあらゆる不動産の価値が短期間に毀損しかねない。
そう思うので相続対策でアパートやら投資用マンションを購入するのは短期的な目線でしかないと思うんだな。相続が終わった後にさっさと現金に戻す前提なのかもしれないが、それこそまた空き家の種を蒔く行為だ。不動産にすることが相続対策になること、これも立派に空き家を作る原因ではないのか。
サンセイランディック
不動産権利調整・土地のリノベーション
コンパクトシティを実現するために、小さな区画・多くの権利者(相続でさらにそれが加速する)を集約して、土地・都市を再生する必要がある。そのために必要なノウハウが「権利調整」となるのではないか。法律の知識・現場のノウハウ・人とのコミュニケーション能力のすべてが揃わなければ達成できない「権利調整」が国からも求められるのではないか。そんな可能性をもった企業がサンセイランディックだと考える。今のところは底地・借地の取り扱いや居抜きによる土地再生が主業務だが、不動産セクターにあって、リノベーションとならび未来を感じる事ができる事業内容だ。会社の説明資料にも、「権利調整ノウハウや独自ネットワークを活かした底地以外の社会的問題への取り組み」として、以下の問題が列挙されている。
- 空き屋問題
- 耐震問題
- 相続税
- 木造密集住宅問題
- 高齢化
Yahoo!掲示板の投稿で見かけた「土地のリノベーション」という言葉にはハッとさせられた。そのような見方もできるのだと。たしかに以下の様な図を見れば、土地という躯体、建物というインフィルに見えてくる。
2014年12月24日に施行される「改正マンション立て替え円滑化法」によるマンション立て替えも結局のところは「居抜き」の大規模版である。大規模マンションの立て替えは大手デベロッパーが興味を持つところであろうが、地道な交渉ごとなどは確実にアウトソースしたいところだろう。
改正マンション建て替え円滑化法成立、12月施行へ (2014年6月20日 日経新聞より一部引用)
老朽化したマンションの売却と解体の決議要件を緩和する「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」(改正マンション建て替え円滑化法)が2014年6月18日、参院本会議で可決し、成立した。同年12月をめどに施行する。
耐震性不足など老朽化が進んだマンションで、区分所有者の5分の4が同意すれば、建物の解体と跡地売却を認められるようになる。改正前は原則、区分所有者全員の同意が必要だった。区分所有者が自力で建て替えるのではなく、跡地を買い受けたデベロッパーなど資金力のある企業による土地活用を進めるルートを設ける。
従来も区分所有法は、区分所有者の5分の4の同意があれば建て替えを認めているが、区分所有者の意見調整に時間がかかった。一方、建物の解体や跡地売却は、民法の原則にのっとって区分所有者全員の同意が必要で現実的ではなかった。
経営哲学の「不断:永久に存続する為、八分の力で邁進する」
2013年12月期決算説明資料よりサンセイランディックの「経営哲学」を抜粋する。
これは「この世に生き残る生物は、 最も強いものではなく、 最も知性の高いものでもなく、 最も変化に対応できるものである」の言葉を思い出させる経営哲学だ。この言葉を意識して社訓を読むと、それぞれ以下のように読める。
中庸:変化を求める社会・環境の変化を見逃さないこと。一つの何かに依存しすぎない、盲目的にならないこと。
質実:変化が必要になったときに動きやすい体制・規模を維持すること。
不断:変化が必要になったときに動ける余力を持っていること。
特に、「永久に存続する為、八分の力で邁進する」が個人的には面白い。リーマンショックでも黒字を維持できた同社だからこそ説得力がある。不動産業は高いレバレッジのかかった仕事をするわけであるから、会社が「全力」でビジネスをしていると、変化が起こった時に対応できる時間も余力もなくなってしまい、大きなダメージを負ってしまう。それを避ける仕組みが社訓に組み込まれていることは、安心感につながる。
また、この八分は会社の勤務スタイルにも現れているようだ。サンセイランディックは不動産業ながら、完全週休2日制かつ残業も少ないようだ(ネットの口コミや求人情報ベースであるが)。同社のビジネスでは「人」がとにかく大事。スキルを持った人の流出が大きなリスクである。だからこそ、社員に無理を強いない勤務スタイルとされていると思われる。
DODAで求人情報を確認してみたが、確かに土日祝日はお休みの様だ。
その他思ったこと
ユーカリが丘が注目されるのではないか
完全に単なる予想なのだが、「ユーカリが丘」が注目される時がくるのではないか。まだまだ表面的にしか捉えていないのだが、「山万という不動産企業による計画都市」「高齢化をコントロールしている都市(新築を無闇に作らず若年層を毎年計画的に呼び込む)」は評価が高まるのではないか。
一般社団法人 土地総合研究所 定期公演会講演録
「第169回:ユーカリが丘開発の実践を踏まえた街づくり」
山万株式会社 常務取締役 林 新二郎氏
ユーカリが丘に自らが居住することで当事者意識をもって、街を創っていけるのでしょう。この会社が上場をしない・できない(してはユーカリが丘を長期的視点で創れない)と判断したことは正しかったと思うと同時に悲しく思う。なぜならこんな企業こそ応援したいからだ。
【8940】インテリックス (マンションリノベーションのパイオニア)
分譲マンションの建て替え実績は、これまでのところ全国でわずか183棟あまりと一向に進んでいない状況です。
欧米の動向を見れば、中古住宅の流通が主流ですし、人口が減少していく国では新築住宅の販売にも限界があります。
今後は、立地が良い場所の中古物件の再生という事業が、ますます拡大していくに違いありません。
そのためには中古マンションをピカピカに再生するノウハウが必要でしょうし、当社はその最前線を走っています。
インテリックスとは
インテリックスはマンションの「リノベーション」のパイオニア企業である。
(1)中古マンションを1部屋単位で素材として仕入れる。
(2)その部屋を間取りを変えることも含めて抜本的に、新築マンションと同じ資材を使い作り替える。
(3)リノベーションされた部屋に保証をつけて販売する。販売後も保証期間を通じてサポートする。
これが同社の主たる事業であるリノヴェックスマンションの販売である。単なる仲介でもないし、0からマンションを造るデベロッパーとも違う。その両方の中間にいる企業だ。
インテリックスを知るための資料
手っ取り早くインテリックスがどんな会社か知りたい場合、1番目の社長インタビュー、2番目の会社紹介資料を見るのが良い。投資家としての目線なら3番目のフィスコの企業調査レポートが参考になる。さらに詳しく知りたい場合、4番目のリノベーション革命―インテリックスが住まいの常識を変えるを読むのが良い。
山本卓也代表取締役社長インタビュー
山本社長のインタビュー。同社の事業内容・強みを山本社長が説明されています。
会社説明資料(2013年9月版)
インテリックス自身による会社紹介。
フィスコ 企業調査レポート 『中古マンション市場で大きな成長ポテンシャル』
フィスコのアナリストによる企業取材レポート。投資家が気になる部分を特に重視しています。
鶴蒔靖夫氏がインテリックス社長の山本氏へのインタビューをベースに、インテリックスの事業を詳細にまとめた本。これを読むとインテリックスの強さがわかり、株を売ろうという気が失せてしまう。
中古マンションのリノベーション戦略―不動産再生の知的集団インテリックスの挑戦
同じく鶴蒔靖夫氏がインテリックス社長の山本氏へのインタビューをベースに、インテリックスの強み・戦略をまとめている本。出版時期は『リノベーション革命』より7年遡る2004年であり、リーマンショック前、そして上場前の急成長を続けていた時期に書かれたもの。当時に『5年後・10年後』として語られていたことが今まさに現実になろうとしている。
インテリックス
インテリックスのHP。IR資料もきっちり整理されていて好印象。
インテリックス空間設計
リノベーションの実際の工事を担当しているインテリックス空間設計のHP。インテリックスのリノベーション施工のキモであるECOCUBEの紹介がある。
HOME'S総研 STOCK&RENOVATION 2014
HOME'Sの社内シンクタンクであるHOME'S総研が1年間をかけて調査したレポートで、"リノベーション"自体を知るための資料。「本格的な成長期を迎えたリノベーション市場の現状を整理し、近未来のストック型住宅市場形成のための参考資料となることを目指して、本報告書を発行いたしました」と発行元が発表する通り、リノベーションの定義や歴史から展望まで、ネット上にある資料でこれほどのボリュームをもった資料は他にないという内容です。
インテリックス(グループ)の構成
インテリックス(グループ)は、3社により形成されており、それぞれの役割は明確である。どことなくこの分かれ方は『コンピュータの5大装置(入力・出力・記憶・制御・演算)』を連想させる。
(1)インテリックス (制御・記憶)
インテリックスグループの中核。インテリックス住宅販売やその他の不動産仲介業者から中古マンションを仕入れる。仕入れた中古マンションをインテリックス空間設計と連携してリノベーションし、リノヴェックスマンションを作る。再びインテリックス住宅販売やその他の不動産仲介業者を通じて販売する。これは制御の役割(もちろんグループを統括する意味もあるべきだが)。
同社が年間1000以上のリノヴェックスマンションを販売できる仕組みである『総合監理システム』は物件情報入手→仕入→施工→販売に至る全工程のデータを一元管理するものであり、まさに記憶の役割である。
(2)インテリックス空間設計 (演算)
リノベーションの設計・施工・アフター保証を担当する、インテリックスグループのエンジン部(演算)。設計に必要となる寸法のノウハウやECOCUBEとして商品化された施工技術が蓄積している。
中古マンションを購入した一般消費者向けのリノベーションとして、Web上で簡易見積もりが可能な『ちょうどいいリノベーション』の取り扱いを行う。また、施工技術として大きなアドバンテージを持つECOCUBEを武器に、リノベーション同業他社の施工をインテリックスが請け負うサービスも開拓中のようである。
インテリックスが取り扱うリノヴェックスマンションは不動産業であるのに対し、インテリックス空間設計の事業は建築業に近い。インテリックス(グループ)が今後より強い企業になるための成長ドライバーとなるのは同社ではなかろうか。
(3)インテリックス住宅販売 (入力・出力)
リノヴェックスマンションの仕入れ・販売を行う。年間15000件(今はそれ以上かもしれない)の物件情報をあつめ、10件に1件ほどしかない良物件を仕入れる窓口である。
インテリックスを取り巻く社会背景・トレンド
中古マンションのリノベーションを後押しする社会背景・トレンドは次の様なものだろう。
ストックを活用する社会への転換
(1)家への考え方の変化
家を建てる・持つのがある種のゴールであった時代から、家が自分の人生を充実して過ごすための舞台・ツールである時代に変わった。
(2)住宅ローンへの考え方の変化
人生の大半をローンに縛られたように生きるのってなにかおかしくない? と若者は本能的に感じている。新築のために背伸びをしたローンは組みたくない。
(3)中古に対する考え方の変化
何がなんでも新築でなければならない、という人は減っている。経済的な理由であったり、より重要な価値観を満たすものが中古にしかない場合もある(希望の場所に新築がない・完成まで待たずにすぐ住みたい・自分の好みにカスタマイズしたい)。
All About Award 2013
住まい部門 部門別ランキング1位、総合ランキング4位
「中古でいい」から「中古がいい」へ
これまで日本には根強い「新築信仰」があったが、ここにきて「中古マンション」が注目されている。特に20代の若年層を中心に好まれており、中古物件を自分好みにリノベーションすることの人気も加わり、あえて中古を選ぶ決断をする人が増えている。ポスト団塊ジュニアを魅了する「築20年住宅」
内山博文・リノベーション住宅推進協議会会長に聞く
いくつか要因はあると思いますが、まず大きいのは消費者の嗜好の変化ですよね。いわゆるポスト団塊ジュニア世代の人たちが、住宅を購入する年代に突入したということです。これは一般論として言われていますが、経済成長期に幼少時代を過ごした彼ら、彼女らは、物資的欲求がある程度満たされています。だから、「いつかはマイホーム」といった従来の住宅神話が成り立ちにくいという事情があります。その代わり、自分の琴線に触れるモノには、惜しみなく消費します。感動したり、共感したりする商品やサービスには、大金でもパッと使ってしまう。それは、住宅であっても同じです。それが、新築か中古かというのは、あまり関係ないという人も少なくありません。
(4)ストックの増加と人口の減少
すでに多くのマンションが供給されてきた。一方で日本の人口は減少を始めていて、いずれ住み手がいないマンションが増える。すでに一戸建ての空き家は社会問題になっている。今ある物(ストック)を活用することが求められている。
(5)郊外の一戸建てから都心の駅近マンションへの"都心回帰"
電車・バスなどの交通手段、病院、ショッピング施設などが集積する都心部は高齢者にとっても暮らしやすい(都会の雰囲気に対する好き嫌いはあろうが便利であることは間違いない)。定年退職をした高齢者が郊外から都心に回帰する動きがあるようだ(40代以上に広がるマイホーム都心回帰と中古リフォーム傾向)。また、国は人口の減少への対策として、コンパクトシティを指向しており、これも都市中心部への集中・回帰を促す。
駅近のマンションも、当然立地の良いところから建設されている。そのため、新築より立地においては中古マンションがより高い価値をもっていることが多々ある。
(6)地球環境の変化
古くなった物を壊して作り直す(スクラップ・アンド・ビルド)ことを地球環境が許さなくなりつつある。使える物は長く使っていくことが求められる。
(7)建築資材の高騰と職人の不足
資源価格の上昇や為替の影響により建築資材が高騰する。また、建築現場で働く職人の高齢化が進み、いずれ職人が不足する。当然建築にかかる費用は高騰する。
東京オリンピックの開催決定により、コンクリートなどの建築資材はオリンピック、国土強靭化、震災復興に多くが使用されることになる。新規にマンションを造る際には必ずコストに響いてくるだろう。
(8)立て替えは現実に困難
立て替えには8割以上の住人が賛成しなくてはならない。当然立て替えの費用も問題となる。おそらく、次々と作られているタワーマンションの立て替えは不可能だろう。
政策の後押し
(1)2010年06月17日 新成長戦略『中古住宅流通、リフォーム市場の現状』 における政策支援
中古住宅の流通市場、リフォーム市場等の環境整備
数世代にわたり利用できる長期優良住宅の建設、適切な維持管理、流通に至るシステムを構築するとともに、消費者が安心して適切なリフォームを行える市場環境の整備を図る。また、急増する高齢者向けの生活支援サービス、医療・福祉サービスと一 体となった住宅の供給を拡大するとともに、リバースモーゲージの拡充・活用促進な どによる高齢者の資産の有効利用を図る。さらに、地域材等を利用した住宅・建築物 の供給促進を図る。
これらを通じて、2020 年までに、中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増させるとともに、良質な住宅ストックの形成を図る。中古住宅・リフォーム市場の倍増等
内需の要である住宅投資の活性化を促す。具体的には、これまでの新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換を促進するため、建物検査・保証、住宅履歴情報の普及促進等の市場環境整備・規制改革、老朽化マンションの再生等を盛り込んだ中古・リフォーム市場整備のためのトータルプランを策定する。(中略)
これにより、中古住宅流通市場・リフォーム市場を20兆円まで倍増を図るとともに、ネット・ゼロ・エネルギー住宅を標準的な新築住宅とすることを目指す。
(2)2013年06月14日 日本再興戦略 -JAPAN is BACK- における政策支援
都市・住環境の向上
透明性・客観性の高い不動産市場を実現するため、各種の不動産情報やその提供体制の整備、国際基準を踏まえた不動産の評価基準の整備 (来年度中)等を行うとともに、フロー拡大からストック充実に向け て質の高い多様な住宅ストックの形成を図るため、既存住宅のインス ペクション(検査)や長期優良住宅化のための基準等の整備(今年度中)、既存住宅の建物評価に係る指針策定(今年度中)等を行うこと により、居住面の環境整備を促進する。
(3)2013年03月06日 中古住宅の流通促進・活用に関する研究会
(4)2013年06月17日 「既存住宅インスペクション・ガイドライン」の策定
(5)2013年09月26日 中古住宅市場活性化ラウンドテーブル第1回の開催について
1.開催趣旨
中古住宅流通に携わる民間事業者等のいわゆる実物サイドと金融機関などの金融サイドが、自由で率直な意見交換を通じて、中古住宅市場の活性化や拡大に向けた基本的方向や取組課題を共有することを目的として、不動産事業者、金融機関、住宅金融支援機構等の中古住宅流通市場関係者等の参加を得て「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」を開催する。2.議論の内容
(1)中古住宅の建物評価改善等の取組を中古住宅流通市場と金融市場に定着させるための方策
・今後策定予定の新たな建物評価手法の策定に当たって必要な改善点
・リフォーム等による建物価値の向上を新たな建物評価手法に反映させる方法
・新たな建物評価手法におけるインスペクションの活用方策
など(2)高齢化・ストック社会を見据えた中古住宅関連金融商品のあり方
・新たな建物評価手法の導入等を踏まえた新たな金融商品の可能性
・戸建賃貸住宅市場の拡大・活性化を踏まえた金融ビジネス拡大の可能性
・リフォームローン、リフォーム一体型ローンに関する事業者(リフォーム業者、金融機関)間連携の可能性
など
大手といえどリノベーションから目を背けられない
0から作るほうが時間はかかっても、シンプルで楽ということは多い。新築1棟の数十〜数百戸の管理と、あちこちに分散した数十〜数百戸の管理では明らかにコストが異なる。それ故にスクラップ・アンド・ビルドを指向したがる向きは多い。しかし、そういってストックの活用、そしてその活用形態の1つであるリノベーションから目を背けることはできなくなってきている。それは最近の大手不動産会社の動きや、不動産関係のWebサービス提供者の動きから明確である。
2013年05月31日 大京リアルド、リノベーション事業に参入
2013年07月30日 穴吹興産、マンションのリノベーション事業に参入
2013年10月02日 積水化学工業、マンション専有部のリノベーション事業を開始
2013年10月08日 不動産・住宅情報サイト「HOME'S」運営のネクストが総合情報サイト「HOME'Sリノベーション」の提供を開始
2013年10月10日 三菱地所レジデンス リノベーションマンション分譲事業に新規参入
2013年10月10日 リストがリノベーション仲介を本格展開
2013年11月28日 パナホームリフォームが首都圏エリアの中古分譲マンションの買取再販事業においてインテリックスと業務提携
各TVメディアの報道
2012年09月11日 NHK ニュースおはよう日本『都心回帰のニーズ "丸ごとリフォーム"』
2012年11月01日 テレビ東京 カンブリア宮殿『築40年の木造長屋が大人気住宅に!“家賃を倍”にする不動産再生集団!』
2013年06月04日 NHK クローズアップ現代『安くて快適!中古リノベーション住宅』
2013年09月17日 テレビ東京 ワールドビジネスサテライト『リノベーションで価値高める』
2013年09月17日 テレビ東京 ガイアの夜明け『"中古"で実現!自分好みのマイホーム』
2013年09月25日 NHK 特集まるごと『眠れる宝を掘り起こせ! “空き家”ビジネス』
2013年10月03日 テレビ東京 モーニングサテライト『中古マンション改修で価値向上』
インテリックスの強み・オンリーワン
林則行氏の伝説のファンドマネージャーが実践する 株の絶対法則では、会社がビッグチェンジするかどうかの判断基準として次の3点を挙げている。
(1)時流に乗っているか
(2)オンリーワン企業か (マーケットシェアが巨大で不況でもシェアが拡大するか)
(3)政策の後押しがあるか
(1)と(3)はインテリックスを取り巻く社会背景・トレンドから基準を満たせていると考えられる。あとは(2)のオンリーワン企業かどうかである。
最初に書いた通りインテリックスはマンションのリノベーションにおけるパイオニアである。会員数が350社(正会員265社、賛助会員112社、2013年10月14日時点)を超えるリノベーション住宅推進協議会の初代会長がインテリックス社長の山本氏である点からも、それが業界の共通認識であることは間違いない。
しかしパイオニアだからといって新規参入組に必ず勝てるなどということはない。三菱地所レジデンスなどの大手企業が参入してきた以上、競争の激化は必至のように思われる。
これから私が調べた範囲で認識しているインテリックスの強みを書いていく。その強みを踏まえて、インテリックスがどうなるかは次章に。
『リノベーション』に投資するとすれば銘柄はインテリックスしかない
最初がこれなのはどうかと思うが、わかりやすいので。なお、この強みは単純に銘柄としての強みであって企業の強みではない。
『リノベーション』に特化した投資がしたいと考えたときに東証1部・2部・ジャスダック・マザーズを見渡しても、インテリックス以上にど真ん中の企業は出てこない。同社はリノベーションをコアビジネスにしている。私がリノベーションに興味を持ち銘柄を調査した際にでてきたのは、インテリックス以外では次の3銘柄である。調べてみればわかるが、『リノベーション』の濃度が最も高い銘柄はインテリックスで間違いない。
(1)【3230】スター・マイカ
(2)【8885】ラ・アトレ
(3)【8844】コスモスイニシア
非上場企業で最も気になる会社は『リビタ』である。同社はインテリックスと協力してリノベーション住宅推進協議会を立ち上げているうえ、同協議会の現会長の内山氏は同社の常務取締役である。リノベーション関連のニュースを追う上では絶対に外せない会社ではあるが、京王電鉄が91%の株式を保有しており、今後の上場可能性は低いように思われる(上場していたらインテリックスと半々ぐらいで買いたかったかもしれない)。
※余談ではあるが、中古マンション市場の好調によってかスター・マイカは順調に株価を上げている。同社はリノ★ピカブランドでリノベーションを行っている。また、先頃女性スタッフで構成されるしあわせリノベ研究所を立ち上げている。これはなかなか興味深い試み。スター・マイカはありかもしれない。
リノベーション事業を支える自社開発の『総合監理システム』
現在ではどのビジネスにおいてもICTの活用は不可欠だが、リノベーション事業では特にその役割が大きい。なぜ役割が大きいか、管理するべきものが多いからだ。厳密にはわからないが、ざっと考えただけでも次のものは管理対象だろう。
(1)中古マンションの情報<部屋単位> (仕入れるかどうかは別として情報が得られたもの)
(2)部屋の詳細情報 (各部の状態・サイズなどおそらく恐ろしく細かい)
(3)リノベーションに関する設計図
(4)施工内容 (どこをどの製品を使ってどう直したかなどの記録)
(5)資材発注・在庫管理 (施工や購入後のサポートに使う部材など)
(6)顧客情報 (商談ごとの記録や購入後のサポート記録も含めて)
インテリックスではこれら仕入れから販売・サポートまでに発生する一連のデータを管理する『総合監理システム』を自社開発し、現在進行形で進化を続けている。リノベーション革命―インテリックスが住まいの常識を変えるによればこのシステムは山本社長自身が初期版をプログラミングしているとのこと。また、現在でも4人ほどの技術者がシステム管理に専任であたっているという。正直これを読んで、他社がこのシステムを超えるのはかなり難しいだろうと思った。超えるのが難しい理由は次の通り。
(1)リノベーションの業務に精通している人のニーズがシステムに反映されている(欲しい物がある、無駄な物がない)。
(2)自社開発しており、素早く機能を改善・追加できる(外部のSIerを入れるとリードタイムが長くなる)。
(3)システムの重要性をトップが理解しており、きちっと担当を割り当てている。
(4)システムの稼働が2000年であり、すでに13年も使われ(不具合もほとんど出尽くしているでしょう)、情報を蓄積している。
これからリノベーション市場に参入する企業はこのシステムに近いものを開発しなければならない。そう簡単にできるだろうか?
施工技術としてECOCUBEを確立
ECOCUBEについては本家での紹介が詳しい。
国土交通省の「建設企業の連携によるフロンティア事業」にも採択されており、資料がいくつか見つかる。
「グッドインフィル開発・事業化推進連携体」が 国土交通省「建設企業の連携によるフロンティア事業」に採択されました
マンションストックを健全化する為のインフィル工法開発と標準化事業
インテリックス空間設計がYoutubeに投稿している紹介用の動画
ECOCUBEは工場で事前にカットされた木材(パネル)を現地で組み立てる工法がキモなのだが、なぜこれが必要になり開発されたのか・・・コスト削減のためではない。
(1)近隣の部屋への配慮
リノベーションはマンションの1部屋ごとに行う。当然その上下左右の部屋には住人がいる。その状態で新築よろしく、ドリル音やら木材の切断音などをガンガン出したらどうなるか?木材を現地で切断することで出る粉塵でどうなるか?
最悪の場合、近隣からのクレームにより工事が中断してしまう。また、仮にクレームに至るほどでなかったとしても、引っ越し後にリノベーションの依頼者やリノヴェックスマンションの購入者が近隣挨拶に行って『工事うるさかったんだよね』と文句を言われるなんてことは避けなければならない。
工場で事前にカットすることで切断音や粉塵はほとんどなくすことができるだろう。また、ECOCUBEはコンクリートへの打ち込みを必要としないため、大きなドリルの音は出ない。
(2)工期の短縮
工場で事前にカットされた木材(パネル)の組み立てであるため、現場での作業期間は短縮される。顧客からすれば引き渡しが早くなるのがそのままメリットとなる。インテリックスとしてもメリットがある。施工が早く終わるなら、ビジネスサイクルをより多くまわす事ができる。また、不動産業では『持っている期間』をとにかく短くすることが事業リスクを減らすことになるようだ(特に不動産価格が下落している局面では)。
(3)職人不足への対応・品質の均一化
建築関係は高齢化に加え、若者が敬遠する仕事であるため工事ができる職人が不足している。ECOCUBEのように組み立てを主とする工法には次の様なメリットがある。
(a)0から教育して施工ができるようになるまでの育成時間を短くできる(それでも(一人前まで?)1年はかかるようだが)。
(b)組み立てなので施工の品質も高いレベルを保ちやすい(個人差が出にくい)。
(c)組み立ては2人1組で行える。
なお、ECOCUBEで使用する工場で事前にカットされた木材(パネル)は、エレベータに載せられるようなサイズで作られる。サイズを小さくすると強度の問題がでてくるのだが、インテリックスのパネルにはそれをクリアする工夫があるとのこと。このあたりの工夫は申請中の特許に含まれると思われる。
現場への権限委譲によるスピーディな判断
仕入れにおいて、良い物件を見つけたらスピーディな判断が必要となる。良い物であればあるほど決めかねているうちに同業他社に持って行かれてしまいかねない。
インテリックスでは現場に決裁権限を委譲することで、現場判断で仕入れを行うことができるようになっているようだ。稟議・稟議の大手企業ではこれが難しいという。リノベーション革命―インテリックスが住まいの常識を変えるのp.95とp.102-103から引用する。
前に、勘に頼ったり、ファジーな部分のあるのが不動産の仕事と述べ、それが、この業界でIT化が遅れている要因と語った。だが、矛盾を承知でいえば、現場で最終的な武器になるのも実は、この独特の勘なのだ。ピンとくる、いわば嗅覚である。明確な理由などなく、百戦錬磨の身体にしみ込んだ、肌で覚えた勝負勘である。したがってこれは、人それぞれだ。
月に1200件、1300件もの物件を山本一人がみてまわれるわけがなく、これはどう考えても物理的に不可能である。であるならば、そうした眼力を持つ人を現場に育てなければならない。
インテリックスには、それぞれのランク=職責・役職に応じた決裁権限としてRSA(Right to Settle an Account)というシステムがある。平たく言えば、決裁額を決める権利だ。これは、RSA5MからRSA50Mまでランク分けされている。Mは100万円を表す。したがって、5Mとは500万円であり、50Mは5000万円となる。もっとも、実際には、500万円クラスの物件はほとんどないから、RSA10M(1000万円)からが事実上の決裁金額となる。
5M刻みで、部長クラスで30M=3000万円である。ここまでは単独の判断でもいいが、それ以上の4000万円、5000万円になれば、一人の決裁では荷が重い。そこで、A部長がB部長に追認を要請する。違う見方、異なる角度から検討して、複数の決裁が得られれば、それは進行していい。これでほぼ100%の物件が現場の決裁となり、月に数件の物件が、社長である山本のところへまわってくる。こういう仕組みになっているから、迅速に商品を市場に供給できるのだ。
膨大な施工実績・年間1000件以上の販売
インテリックスでは2013年5月時点までに13500件以上のリノヴェックスマンションを販売してきており、現在でも年間1000件以上の販売を続けている。
膨大な実績があること・年間1000件以上の販売があることで、次の様なアドバンテージを持つ。
(1)リノベーションにおける出来る・出来ないを判断できる
大概のことはすでに経験済み・実績があるものになる。逆にリノベーションでこれはできない、ということも把握されている。例えば、プランニングをする上で水回りの移動ができるかどうかの判断は特に重要なようだ。
(2)リノベーションのプランニングの参考例が多数ある
多くの実例(の記録)を見られることは設計者にとっても嬉しいし、プランニング段階にある顧客も嬉しいだろう。
(3)設計ノウハウの蓄積
廊下・トイレ・風呂場などなど、各場所で最低限必要となる幅など、設計上考慮しなければならない寸法はマニュアル化されているとのこと。多くの設計、顧客からのフィードバックを経て作られた社内マニュアルはまさしくインテリックスの強みである。
(4)1000件以上を取り扱う大口としての仕入れが可能
リフォームとリノベーションは似て非なるもの。ユニットバスについてみるとリフォーム用とリノベーション用(新築用)は異なる。リフォーム用は今ある浴室に搬入するため、パーツが細かく分かれており、その分価格が高めになる。このようにリフォームとリノベーションでは用いる部材が異なる。
リノベーション用の部材をまとめて仕入れるためには、安定して多くのリノベーションを行うことが前提である。年間1000件以上を捌けるインテリックスならでわの強みと言えるだろう。
三菱地所レジデンスの参入について、山本社長はインタビュー中で次のように述べている。
先日、日本経済新聞でも報道されましたが、最近では都心部での再生マンションに多くの期待がかかっています。この記事では新築分譲大手の三菱地所レジデンスが年500戸から600戸を販売するという動きが報じられましたが、併せて当社がすでに年1000戸以上を販売しているとも書かれています。この記事の通り、中古マンションの再生市場では当社が紛れもなく最大手ですし、これまでに蓄積したノウハウなどは他社の追随を許さないものと自負しています。
全国の分譲マンションのストック数は、昨年末時点で593万戸に達しています。その半数以上、52%は首都圏の1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)にあり、その数は309万戸になります。そのうち築20年以上のストックは153万戸。これが2025年には272万戸(現在の約1.7倍)にまで増える見通しです。
一方で分譲マンションの建て替え実績は、これまでのところ全国でわずか183棟あまりと一向に進んでいない状況です。欧米の動向を見れば、中古住宅の流通が主流ですし、人口が減少していく国では新築住宅の販売にも限界があります。今後は、立地が良い場所の中古物件の再生という事業が、ますます拡大していくに違いありません。そのためには中古マンションをピカピカに再生するノウハウが必要でしょうし、当社はその最前線を走っています。
インテリックスの今後
結論から書けばインテリックスはしたたかに生き残るだろう。新規参入組を敵とせず、仲間としてWin-Winの関係を築こうとしている。これが成功すれば、同社は生き残る。うまくお互いの強みが活かせれば安定した大きな収益基盤を得るだろう。
積極的な業界への協力
リノベーション住宅推進協議会の立ち上げなど、リノベーション業界に対して同社は大きな貢献・協力をしている。もちろん、『リノベーション』が曖昧な定義、ルールもなく濫用され、『リノベーション』という言葉自体が悪い印象で語られることを避けるために立たざるを得なかったという部分もあるのかもしれない。
また、リノベーション革命―インテリックスが住まいの常識を変えるによれば、同社は同業に対してかなりオープンに情報提供をしているようだ(もちろんそう簡単に真似できないという自信もあるからこそできるのだろう)。
ECOCUBEを強みとした個人顧客・同業他社からの施工の請負を開拓
インテリックス空間設計は個人向けの『ちょうどいいリノベーション』とインテリックスからのリノヴェックスマンション施工を事業としているが、今後ここに同業他社からの施工請け負いが加わりそうだ。
インテリックス(東京都渋谷区)は、中古再販事業を行う同業他社のリノベーション工事の請け負いを開始した。2~3年後に月間100件の受注を計画している。
請け負う工事はマンション専有部のリノベーション。間取りの変更、内装仕上げ、給排水管のリニューアルなど、部屋全体を一新する。平均受注単価は300万~400万円を想定。
山本卓也社長はサービス立ち上げの背景をこう話す。「リノベーション業界には新規参入業者が増えてきており、再販ビジネスを手掛けるケースが増えてきています。しかし、給排水などの重要なインフラを含めたリノベーション工事を頼む業者がいないという悩みがある。そのような事業者の方から工事を依頼されるケースが出てきたことから、外部からのリノベーション工事を受注していこうと考えました」。
同社では年間約1100戸のマンションのリノベーション工事を手掛ける。再生した中古マンションの累計販売戸数は1万3000件。最近では遮音性、省エネ性の高まる断熱工事や工期を短縮する「グッドインフィル工法」などのオリジナル工法も持つ。
ECOCUBEはオンリーワンの強みであるが、リノヴェックスマンションは恐らくそうではない。リノベーション市場のプレイヤーが増えるにつれ、リノベーション向きの中古マンションの仕入れは難しくなるだろう(市場のストックも増えるのは確実だが、そのなかでも良いものを巡る競争はある)。恐らくそこで競争しても体力を消耗するだけになるのだろう。
一方で新規参入した企業は、リノベーションの施工やその後のサポートノウハウに不安がある。その分野はまさにインテリックス空間設計が取り組んでいるところであり、Win-Winの関係で協力できる可能性が高い。表には出て来ないが、裏方で重要な役回りを演じることになる。
今現在の決算資料上ではインテリックス空間設計による個人向けリノベーション工事請負事業の売上は『その他売上』として扱われている。恐らく数年後には『その他売上』ではなくなり、柱の事業になることを会社は狙っているのだろう。全体に占める割合がまだ小さいので目立たないのだが、この『その他売上』は、それが登場した2012年度の決算から常に前四半期の倍以上に伸びているというすごい事実がある。
これはあくまで個人向けのリノベーション工事請負である。ここに開拓中の同業他社からの施工請負が流れ込んだとすれば・・・まぁそれは楽しみにするしかない。
不動産企業としての宿命から逃れる
中古マンションを購入し付加価値をつけて再販するビジネスにおいて最も怖いのは、付加価値を付ける期間に中古マンションの価値が無視できないほど下がることである。インテリックスにおいてはリノベーションをしている期間が付加価値を付ける期間である。
不動産で事業をやっている以上、価格が下落するとわかっていても仕入れをしなければならない宿命がある。ビジネスを止めてしまえばそこで終わってしまう。利益がマイナスにならない程度の下落にとどまる事を祈るしか無い。
逆に中古マンションの価格が上昇している局面では利益が多少上振れする。しかし、価格が上昇すれば良い物件の仕入れが難しくなる。インテリックスのビジネスにとっては、中古マンションの価格が上にも下にもほとんど動かない、安定した状態であることが理想なのだ。
そうはいっても価格の上り下がりはある。そして下落局面ではダメージが大きいのでなんとか備えなければならない。インテリックスがとっている備え、とろうとしている備えがそれぞれある。
(1)リノベーションの期間をとにかく短縮して価格変動の可能性を極小化する
(2)中古マンションを仕入れなくても回るビジネスを柱に加える
(1)はECOCUBEによる工期短縮などがその施策である。(2)は先に書いた同業他社からのリノベーション施工請負であろう。インテリックスとして中古マンションを仕入れるわけではないため、価格変動のリスクからは逃れる事ができるようになる。
インテリックスは中古マンションのリノベーションにおいて、新築マンションにおける長谷工のようなポジションに収まろうとしているのではなかろうか。
住宅新報の中古リノベーション経営トップに聞く インテリックス社長山本卓也氏 新規参入で競争激化 ”リノベ建設会社" の雄に 不動産業者との連携強める(2014年01月07日)から引用する。
この間に業界内での知名度も上がり、他社からリノベーションの施工を請け負う機会が増えていった。具体的には他社の買取再販事業に際し、裏方としてリノベーションの設計や施工、アフターメンテナンスを手掛ける。新築に置き換えるとゼネコンのイメージだ。当社にとってはノウハウを収益化できると同時に、物件を保有しない受託事業のため財務的リスクが少ない。今後はこうした請負事業を強化し、〝リノベーションの建設会社〟としての地位を確立したい。中長期的には自社での買取再販と同じ、月100件ペースの受注を目指す」
パナホームリフォームとの業務提携
2013年11月28日に発表されたパナホームリフォームとの業務提携は大きな驚きであった。インテリックスという会社がこれまでにないほど評価されはじめていることを裏付けるニュースになると思うので歓迎したい。業務提携の内容をみると、これまで同社が手を出し難かった高価格帯のマンションについて、リノベーション向きのものが見つかればパナホームリフォームに連携する形になっている。上手い棲み分けでありWin-Winを目指せると考える。決裁権限を現場に委譲することが難しい大手の弱点をインテリックスが補う形とも言える。
2.事業スキーム
当社は、不動産仲介会社とのネットワークを通じ中古マンション情報を入手し、物件査定、仕入、販売等ノウハウを提供します。パナホームリフォーム株式会社は、物件を仕入れ、住宅会社ならではの設計・施工のノウハウやパナソニックグループの豊富な商材を組み合わせたリノベーションを施して物件価値を向上させ再販を行います。取扱物件は、スケルトンリフォームなど、パナホームブランドの訴求効果が見込める概ね 5,000 万円以上の高価格帯を想定しており、当社のリノヴェックスマンションとの棲み分けを行います。
本提携後、当社は、パナホームリフォーム株式会社が販売する物件の収支状況に応じた損益分配により収益化することとなります。
ファンダメンタル以外
1部上場の機会がやってくる
通期予想通りの業績と、分割前の株価7万円の維持(最低でも6万円)ができれば1部指定の条件を満たすことができる。
2007年に2部上場してから、業績と株価(それによる時価総額)が共に条件を満たすタイミングが不幸にして無かった(調子が良いところでリーマンや3.11に見舞われチャンスを逃してきた)。今回は期待できるかな。
消費税アップの影響
仮に駆け込み需要というものがあるとすれば、2013年下期は中古マンション市場の方が有利になるであろう。なぜならば中古マンションのほうが引き渡しに至るまでのリードタイムが短いからだ。消費税を5%に抑えるには、2014年の3月末までに引き渡しを完了しなければならないが、もはや新築マンション、特に建設中のものではそれは難しい。
その点、中古マンションであれば引き渡しまでの時間は短い。土地には消費税がかからないため、中古マンションの購入では主として構造部(内装ではなく)の価値に対して消費税を払うことになる。そのためそれほどメリットがあるかはわからないが、2013年度中に中古マンションを調達しておき、2014年度になってからリノベーションする(ここは消費税8%)というぎりぎりの駆け込みも考えられる。この場合、2014年度に入ってからもインテリックス空間設計のちょうどいいリノベーションなどのサービス需要が継続することになる。
駆け込み需要のあとには反動減があるのが常だが、次の理由からインテリックスにはそれほど影響が無い可能性がある。
(1)新築マンション市場に比べると中古マンション市場は安定
中古マンションを買う人の価値観は『今この時期』と『この場所』、そして『この物件』に重きが置かれている場合が多い。どうせ買うなら増税前、という発想とは少し違うのである。今すぐ住みたい、この地域に住みたい、どうしてもこの物件(部屋)に住みたい、などより強いモチベーションにドライブされるのである。
(2)リノヴェックスマンション用の物件の仕入れを絞っている
先に書いた通り、リノヴェックスマンション事業のリスクは中古マンションの価格がリノベーションを行っている期間に下がることである。よって、反動減とそれによる価格下落の懸念がある状況下で、売れると確信が持てない在庫を持たないことが大事である。
インテリックスはこの不動産が勢いづくなか、在庫を減らす動きを見せている。平成バブル崩壊・リーマンショック・3.11を経験されている山本社長の慎重さが現れているところであろう。こういった対応がとれるのも、リノベーションのビジネスサイクルは1四半期、長くて2四半期で1回転できるため在庫を減らしておいても業績は短期間で戻すことができるためであろう。
予想通りの展開へ
サンケイビズの【ビジネスアイコラム】不透明な中古住宅仲介制度の改革を(2013年10月25日)から引用する。
新築住宅の消費税率アップに伴う駆け込み需要が9月末で一段落して、住宅業界では中古住宅流通とリフォーム工事受注に力を入れる動きが活発化してきた。中古住宅は個人間で売買する場合は消費税がかからないメリットがさらに大きくなるからだ。
政府は、消費税増税の反動減を抑制するために新築住宅と不動産事業者が買い取ってから販売する中古住宅を対象に所得に応じて10万~30万円を助成する「すまい給付金」制度を導入するが、良質な中古住宅を購入してリフォームした方が割安と考える消費者は確実に増えていくだろう。
不動産関連株のなかでの割安感
9月に入ってから株価の見直しがようやくなされてきたが、不動産株の中ではかなり割安な状況は変わっていない(PBRやPERを基準に判断)。
下表でもわかるが、黒田日銀の異次元緩和発表による急騰でつけた高値を超えてしっかり伸びている銘柄は限られている。インテリックスのほかにはスター・マイカや長谷工、一建設、ヒューリックの強さが目立つ(ヒューリックの強さの理由はわからない)。
株価は大きなイベントの近辺をピックアップした。
・2012年10月01日: アベノミクス相場が始まる前
・2013年03月29日: 黒田日銀による異次元緩和の発表前
・2013年04月05日: 黒田日銀による異次元緩和の発表後
・2013年06月07日: 5.23の急落後のTOPIX底打ち
・2013年09月11日: 東京オリンピック決定後
・2013年10月25日: 表作成時点 (日経またも急落)
実績PBRと予想PERは2013年10月25日時点の評価を野村証券のQUICKスコアから抜粋した。
澁澤倉庫と都競馬は不動産銘柄というより含み資産銘柄。含み資産の評価増だけでは高値を更新できないことの確認として含めた。
空き家問題への対策法案が国会提出
空き家問題を語る上でリノベーションというキーワードはほぼ確実に使われる。臨時国会にはこの空き家問題への対策法案が提出される見込み。詳細は調査中。